頼もしき 誓ひは春に あらねども 枯れにし枝も
花ぞ咲きける
                 平時忠 

(たのもしき ちかいははるに あらねども かれにし
 えだも はなぞさきける)

詞書・・観音の誓いを思ひて侍(はべり)ける。

意味・・頼もしい観音への祈願は、春ではなくとも枯枝
    にも花を咲かせるものだ。
    観音に祈願するとどんな病気でも治るものだ。

    どんな病気でも必ず治る、必ず治して見せると
    いう気の持ち方が、自己治癒力を高めるという。

 注・・観音の誓い=仏や菩薩が人の病気を治し救おう
     とする願い。
    枯れにし枝・・=どんなに病んでいてもきっと
    治るの意。

作者・・平時忠=たいらのときただ。1130~1189。正二
     位・大納言。平氏滅亡後能登に流される。

出典・・千載和歌集・1238。