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三井寺の 門をたたかばや けふの月   
                    芭蕉

(みいでらの もんをたたかばや きょうのつき)

意味・・今日は中秋の名月、この美しい月のもとで、
    月にゆかりのある三井寺に赴き、門でも
    敲(たた)きたいものだ。

    謡曲「融(とおる)」の「げにげに月の出でて
    候ふや。・・鳥は宿す池中の樹、僧は敲く
    月下の門、推すも敲くも故人の心、今目前の
    秋暮にあり・・」を念頭に詠んだ句です。

 注・・三井寺=大津にある園城寺のこと。
    けふの月=陰暦8月15日の月。

作者・・芭蕉=ばしょう。1644~1694。

出典・・小学館「松を芭蕉集」。