思ひ遣る すべの知らねば 片垸の 底にぞ我は
恋成りにける
粟田女娘子
恋成りにける
粟田女娘子
(おもいやる すべのしらねば かたもいの そこにぞ
われは こいなりにける)
われは こいなりにける)
詞書・・粟田女娘子、大伴家持に贈る歌。
意味・・私、あなたを恋してしまったんです。その気持ちを
あなたが察して下さらないので、とても寂しく憂鬱
なんです。胸の思いを晴らす手立ても分からないま
まに、片垸(かたもい)ならぬ「片思い」のどん底で、
あなたが察して下さらないので、とても寂しく憂鬱
なんです。胸の思いを晴らす手立ても分からないま
まに、片垸(かたもい)ならぬ「片思い」のどん底で、
私は恋する人として沈んでいます。
家持に土をこねて作った蓋のない茶碗に、この歌を
描いて贈った歌です。
描いて贈った歌です。
注・・思ひ遣る=心を慰める、憂いを晴らす。
片垸(かたもい)=垸は土で作った茶碗。片垸は蓋の
ない茶碗。「片思い」を掛ける。
片垸(かたもい)=垸は土で作った茶碗。片垸は蓋の
ない茶碗。「片思い」を掛ける。
作者・・粟田女娘子=あわたのめおとめ。伝未詳。
出典・・万葉集・707。
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