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虫明の 瀬戸のあけぼの 見るをりぞ 都のことも 
忘られにける       
                  平忠盛
               
(むしあけの せとのあけぼの みるおりぞ みやこの
 ことも わすられにける)

意味・・この虫明の瀬戸の曙の美しい景色を見る時こそ、
    都を離れ悲しいと思い続けて来たことも、自然
    に忘れてしまうことだ。

    備前守として任地に下った時の都を恋しく思う
    気持ちを詠んだ歌です。

 注・・虫明=岡山県邑久郡虫明町の瀬戸内の要港。
     備前国の歌枕。

作者・・平忠盛=たいらのただもり。1096~1153。平
    清盛の父。正四位上。平家全盛の基礎を築く。

出典・・玉葉和歌集