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 事足れば 足るにもなれて 何くれも 足るがうちにも
なほなげくかな      
                  源定信

(ことたれば たるにもなれて なにくれも たるが
 うちにも なおなげくなり)

意味・・ある欲望を持ち、それが実現したらいいと思って
    いる。それが実現し慣れてくると当たり前になる。
    実際はそれで満足のはずだかまた次の欲望が出
    てくる。それが実現できないと嘆き悲しむものだ。
   
    欲望があれば向上心が生まれ、努力する。この意
    味の欲望は良い事だ。でも、人の欲望にはきりが
    無いので、ある程度の欲望に満足出来ないと不満
    となる。

   参考です。
    森鴎外の小説「高瀬舟」の一節です。

 「人は病があると、この病が無かったらと思う。
  その日その日が食えないと、食って行けたらと思う。
  万一の時に備える蓄えがないと少しでも蓄えがあった
  らと思う。
  蓄えがあっても、その蓄えがもっと多かったらと思う。
  斯くの如くに先から先に考えて見れば、人はどこまで
  行っても踏み留まる事が出来るものやら分からない」

 注・・何くれ=なにやかや、あれやこれや。

作者・・源定信=みなもとのさだのぶ。生没年未詳。1102
    年出家。

出典・・山本健治著「三十一文字に学ぶビジネスと人生
    の極意」。