白露に 風の吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ
玉ぞ散りける
                文屋朝康 

(しらつゆに かぜのふきしく あきののは つらぬき
 とめぬ たまぞちりける)

意味・・白露にしきりに風が吹いている秋の野は、ひも
    で貫き留めていない玉が散り乱れているようだ。

    薄の葉や萩の枝などに露をいっぱい集めた木
    草が秋風に揺さぶられ、露がその度ごとに白
    く輝きながら散っている情景です。

 注・・白露=草葉の上で露が白く光るのを強調した
     表現。
    吹きしく=「しく」は「頻く」で、しきりに
     ・・するの意。

作者・・文屋朝康=ぶんやのあさやす。生没年未詳。
     九世紀後半の人。

出典・・後撰和歌集・308、百人一首・37。