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                   忘れな草
 
浦みても かひしなければ 住の江に おふてふ草を
たづねてぞみる
                  平資盛

(うらみても かひしなければ すみのえに おうちょう
 くさを たずねてぞみる)

意味・・つれないあなたをいくら恨んでみても、甲斐が
    ないので、住の江の岸に生えているという、昔
    から歌にも詠まれて有名な「忘れ草」をたずね
    て、採って来ました。

    資盛(すけもり)が建礼門院右京大夫に、忘れ草
    に結んでつけて贈った歌です。

    女心を刺激された右京大夫は、次の歌を詠んで
    返します。
    「住之江の 草をば人の 心にて われぞかひ
    なき身をうらみける。
           (住の江の岸の恋忘れ草は、あなたのお心。私の
    ほうこそ、恋い焦がれても甲斐もない我が身を
    恨んでいます)

 注・・浦=海岸。「恨み」を掛ける。
    かひし=甲斐し。「し」は強調の語。

作者・・平資盛=1161~1185。24才。源平の戦・壇ノ
             浦の戦で敗れ入水した。
    建礼門院右京大夫=1157~?。高倉天皇の中宮・
    
建礼門院に仕える。資盛とは恋愛関係。
 
出典・・建礼門院右京大夫集。