世を憂しと 思ふばかりぞ かずならぬ 我が身も人に
かはらざりける      
                   頓阿法師
                
(よをうしと おもうばかりぞ かずならぬ わがみも
 ひとに かわらざりける)

意味・・とるにたらない我が身は、何事も人並みでない
    はずなのに、世を憂い辛く思う事だけは、人と
    変わりがないことだ。

    世の辛さだけは人並みだと皮肉に自嘲した歌で
    す。

 注・・かずならぬ=数える価値がない、取るに足りな
     い。

作者・・頓阿法師=とんあほうし。1289~1372。俗名
    は二階堂貞宗。当時、浄弁、兼好、慶運らと共
    に和歌の四天王と称された。

出典・・頓阿法師詠(岩波書店「中世和歌集・室町篇」)