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夜すがらを 案じあぐめる 歌ひとつ 思ひありけり
朝がゆの間も
                  明石海人

(よすがらを あんじあぐめる うたひとつ おもい
 ありけり あさがゆのときも)

意味・・夜の間中、思案し続けている歌がある。うまく
    まとまらないその歌のことを、朝かゆをすする
    間も考え続けている。
   
 注・・夜すがら=夜通し。
    あぐめる=行き詰ってどうしょうもない。

作者・・明石海人=1901~1939。ハンセン病を患い岡
    山県の愛生園で療養。手指の欠損、失明、喉に
    吸気管を付けた状態で歌集「白描」を出版。

出典・・歌集「白描」。