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福の神 祈る間あらば はたらいて 貧乏神を

追い出すがさき
           
(ふくのかみ いのるまあらば はたらいて びんぼう
 がみを おいだすがさき)  

意味・・身体を動かし額に汗して働くことなく、「儲かり
    ますように」とか、「幸せになりますように」と
    かいって、神様や仏様を拝んだ所でそうは行か
    ない。拝むヒマに、先ず働いて貧乏神を追い出す
    ことだ。

    昔、「百姓は生かさず殺さず」などといって、い
    くら働いてもほとんどが年貢として吸い上げられ
    た時代には、こういう歌は、搾取と貧困、不公平
    な分配という仕組みから目をそらせ、責任は自ら
    にありと思わせるたものであった。
    だが、今日のように、暖衣飽食の生活の時代にな
    ると意味は異なってくる。
    小咄がある。
    東南アジアのさる国で、一生懸命働いている日本
    人を尻目に、ヤシの葉かげで悠々と昼寝している
    現地の人がいて、その人物が昼寝から覚め、「日本
    人は、どうしてそなに働くのだ」と質問した。日本
    人ビジネスマンは「それは、楽をしたいからだ」と
    答えた。すると、現地の人は「そんなにあくせく働
    かなくても、俺なんて毎日楽しているよ」と日本人
    ビジネスマンを嘲笑った、といものである。
    今日の日本人は、小咄の現地の人のようだ。本当は
    失業者なのにフリターなどといって食べられるよう
    になったのは、、先人の血のにじむような努力、汗
    と涙の結果である(社会保障の充実など)。このよう
    な日本では、上記の歌にあるように、一生懸命働い
    て、稼ぐべきものを稼がなければ、楽は出来ないも
    のである。
    だか、最近は、また昔のように大変な時代にもどり
    つつある。就職しても正社員になれないような・・。

出典・・山本健治著「三十一文字に学ぶビジネスと人生の極意」